国土交通省の「土地届け」は、所有者不明土地をこれ以上増やさないために必要とされています。さらに、既に所有者不明となっている土地についても対策が検討されており、関係する士業もそれぞれの専門領域において対応策を検討しています。
平成29年1月23日に開催された第1回 所有者不明土地問題研究会では、(公社)日本不動産鑑定士協会連合会から次の資料が提示されています。
「所有者の所在の把握が難しい土地への対応について ~取り組み状況等について~」
Ⅰ.支援業務
●専門職業家・不動産鑑定士としての支援業務
支援としての不動産の鑑定評価業務
●不動産鑑定士としての専門性を活かして行う支援業務
1.不動産の利用や取引等に関する相談業務
2.鑑定評価等業務に関連する情報収集・調査分析に係る業務
●一般国民への周知・啓発活動等に係る支援業務
1.一般国民への周知・PRを図るための活動及び啓発活動
2.無料相談の実施
●その他
Ⅱ.国土交通省の「所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策・最終とりまとめ」 及び 「所有者の所在の把握が難しい土地に関する探索・利活用のためのガイドライン」普及のための取り組みについて
●士協会及び会員への周知・協力依頼
●国土交通省作成「土地届け」パンフレットの配布
Ⅰ.の支援業務では、その他の支援の例として「相続人の調査」や「相続人調査のための戸籍等収集に係る調査」を挙げていますが、実際に不動産鑑定士が専門性を発揮できるのは、やはり不動産の鑑定評価業務になります。かなり限定的になりますが、「所有者の所在の把握が難しい土地」の探索の過程で「相続に伴う登記手続が一代又は数代にわたりされていない土地」の場合に、遺産分割を済ませ速やかに相続を完了させるために、分割協議の前提として土地価格の評価が必要なケースがあり得るでしょう。