[2017-10-14] 所有者不明土地問題:行政書士会の取り組みについて

.  国土交通省の「土地届け」は、所有者不明土地をこれ以上増やさないために必要とされています。さらに、既に所有者不明となっている土地についても対策が検討されており、関係する士業もそれぞれの専門領域において対応策を検討しています。

.  平成29年1月23日に開催された第1回 所有者不明土地問題研究会では、日本行政書士会連合会から「所有者不明土地問題に関する取り組み事例等」が提示されています。

.  そこでは次のような 行政書士と自治体の連携事例 が紹介されています。

 

① 遊休農地(所有者不明農地)

●福岡:福岡県内の町との間で、所有者不明の農地の権利調査に関する業務委任の基本契約を締結。

●宮崎:宮崎県内3市との間で、遊休農地等の所有権に関する権利調査の受託契約を締結。

業務内容 1.農地の所有権に係る調査及びその権利者の特定

2.特定に必要な戸籍謄本等の証明書の取得

3.調査の結果に基づく相続関係図の作成

 

② 道路内民地

●静岡:静岡県内の市との間で、道路内の土地贈与意思確認等業務委託契約を締結した。

業務内容 1.発注票受理公用押印済み申請書受理

2.公図・全部事項証明書収集

3.現地調査:写真撮影・案内図作成

4.発注者との協議・調整

5.事前連絡書郵送

6.土地贈与申出書受領

7.納品物の作成

8.事前チェック

9.納品

 

③ 認可地縁団体

●島根:入会地を登記するために、土地の所有権登記を目的とする認可地縁団体設立の申請を行う。

④ 無縁墳墓の改葬

..墓地の承継者が、無縁墳墓化している墳墓については、墓地埋葬法施行規則第3条の規定により、無縁墳墓の強制終了を行うことができる。

この制度を活用するうえで、相続関係説明図の作成等において行政書士が協力を行っている。

具体的には・・・

① 死亡者の本籍及び氏名並びに墓地使用者等、死亡者の縁故者の調査

② 死亡者の縁故者及び無縁墳墓等に関する権利を有する者に対し一年以内に申し出るべき旨を官報に掲載し、かつ、無縁墳墓等の見やすい場所に設置された立札に一年間掲載

③ 無縁墳墓の強制終了

. 「所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策・最終とりまとめ」では、都道府県用地担当部局、市区町村建設担当部局、農業委員会、都道府県林務担当部局、市町村林務担当部局、森林組合に対して行われた「平成27年度地域活性化に資する所有者不明の土地の活用に関する調査によるアンケート調査」の内容を紹介していますが、いずれも「所有者情報把握の際に苦労した点」として、次の2点を多く回答しています。

1. 所有者探索にかかるノウハウがなく、手間と時間がかかった。

2. 所有者探索に割くことのできる人手がなかった。

.  自治体としては容易に増員できないため、時間と煩雑な事務作業が伴う所有者探索については外部委託して、速やかに所有者を確定ないし財産管理人の選任等を進めるべきでしょう。