前回、農地を相続した場合の農地法3条の3の届出について解説をしました。
そこで今回は、国土交通省が進めている農地や森林を相続した場合の「土地届け」について。
国土交通省が農林水産省と共同で「土地届け」パンフレットを作成しています。社会的背景として、農地や森林所有者の不在化・不明化が進んでいることがあります。土地の所有者がわからないと、その土地を利用したいときに困るのはもちろん、災害復旧・鳥獣害対策などにも支障が出ます。土地の所有者がわからなくなる大きな原因として「相続」があります。そのため、平成21年の改正農地法、平成23年の改正森林法の施行により、現在は、農地を相続したり、新たに森林の所有者となった者は、事後に届出をしなければならない、と届出が義務化されています。
さて、「土地届け」というのは、農地や森林を相続した際の次の3つをいいます。
① 法務局への相続登記
② 農地法、森林法に基づく農業委員会や市町村への届出
③ 農業委員会や森林組合等への土地活用の意思表示
まず、① 法務局への相続登記ですが、相続の際に相続した土地をきちんと登記しておけば、所有者不明な土地が今後増えることを抑えることができます。相続した人にとっても、土地を売りたいとき、さらに自分の子供達に引き継ぐときなどに、円滑に手続が進むメリットがあります。
次に、② 農地法、森林法に基づく農業委員会や市町村への届出ですが、相続した財産の中に農地や森林が含まれていることがわかったら、相続した土地のある市町村に問い合わせてください。
③ 農業委員会や森林組合等への土地活用の意思表示については、相続した土地を売りたい、貸したい、管理して欲しいという意思がある場合は、土地活用の意思表示をしておいてください。うまく売却や利活用ができるかもしれません。
住んでいる場所から遠くの土地を相続した場合や、手続がわからない場合など、農地や森林を相続した方は、当事務所でも「土地届け」に関する手続を行っていますので、まずはご相談下さい。