[2017-11-17] シンポジウム「不動産価値評価におけるAI利用の可能性」

東京・六本木の政策研究大学院大学で資産評価政策学会「2017年度 秋の研究大会」が開催されました。
前半は論文発表、後半はシンポジウムでした。

前半の論文発表のテーマは次の通りで、いずれも開示情報やアンケートに基づいて分析が行われていて興味深い内容でした。
1.減損会計情報を活用した遊休不動産分析の試み
2.全国主要都市における既存マンションのリフォーム実施に伴う取引価格の変化
3.オフィス賃料にテナントリスクが与える影響に関する研究
4.人口減少と空き家に関する研究 -大都市圏郊外と地方部を対象として

後半のシンポジウムのテーマは「不動産価値評価におけるAI利用の可能性」で、基調講演、パネルディスカッションが行われました。
将来多くの仕事がAIに取って代わられると予想されていますが、不動産価値評価にAIはどのような影響を与えるのか関心を持って臨みました。
不動産マーケット予測や中程度のスキルはAIが代わっていくだろうということだが、AIが不動産価値の評価を行った場合、その査定の過程はブラックボックスになってしまう。つまり「根拠は説明できないがAIが評価したんだから信じなさい」ということになり、不動産鑑定評価に求められる査定根拠の説明が示されないことになります。また、取引事例などの情報が潤沢にない場合の信頼性にも疑問が残ります。今後の不動産鑑定評価ではAIを利用しながら、これまで不動産鑑定士が積み上げてきた高スキルを磨いていく必要があるということでしょう。