[2017-9-27] 平成29年 基準地価 が公表されました・・・⑤(氷見市・南砺市・小矢部市・朝日町)

氷見市、南砺市、小矢部市、朝日町は、いずれも富山県の辺縁部(西端、東端)に位置し、人口減少率、高齢化率が高い市町ですが、地価はほとんどの地点で下落しています。

 

〔氷見市〕

氷見市の地価は、地価水準が横ばいとなった柳田の住宅地1地点を除いてすべて下落しています。氷見市では全ての基準地が前年とほぼ同率で変動しています。

氷見市の商業地は、氷見漁港場外市場「ひみ番屋街」への観光客が増えていますが、市街地のアーケード商店街ではシャッター街の状況で衰退傾向が続いています。また、基準地は氷見市を縦断する国道160号沿いにありますが、国道160号が郊外へ向けて延びているため長く伸びきった広い沿道地域を形成しているうえ、高岡市内の国道8号などの路線商業地域と競合するため、なかなか発展しにくい商業地になっています。

また、人口が減少し続けている一方で、郊外で中小規模の分譲地が開発されているため、戸建て住宅地は供給過剰の状態(売り物件の方が買い希望より多い状態)になっていて、緩やかな下落傾向が続いています。

 

〔南砺市〕

南砺市は商業地、住宅地ともに全ての基準地で下落しています。南砺市は旧町村の既成市街地が散在していますが、人口の減少傾向が強く、高齢化率も高いため、全体に衰退傾向が強くなっています。市役所庁舎の再編が議論されていますが、都市機能の集約と旧町村の特性をどう守っていくかによって、今後の土地価格が左右されると考えられます。

南砺市は観光資源が多く、世界遺産の五箇山合掌集落もありますが、小規模な観光地が山間部に点在しているため、隣県の大型観光地に比べて誘客が難しい面があります。スキー場や観光施設、温泉保養施設なども点在していて、中には道の駅福光のような強い集客力のある施設もありますが、利用者が少なく維持管理が難しい施設もあるようです。観光地に設定された基準地が少ないため、観光の動向が基準地価格に与える影響は間接的になりますが、市の産業の一つとして重要なものと考えられます。

 

〔小矢部市〕

小矢部市は住宅地の1地点を除いて商業地、住宅地ともに下落しています。

住宅地の下落地点は、地価水準が絶対額で相当低くなってきたために前年から下落幅が縮小しています。綾子の基準地は周辺の分譲地がやや高い水準で販売されている影響を受けて昨年より上昇しています。区画整理されたエリアですが、まだ田が多く残っているため、今後地価の上昇が続くとしても現在の分譲価格が上限となるでしょう。

商業地は郊外のアウトレット小矢部周辺で商業施設が増加していますが、石動駅前(北側)に広がる既成市街地は顧客流出と市街地人口の減少によって衰退傾向にあります。石動駅南側には今回から基準地が設けられましたが、区画整理事業が完了して、今年度には駅舎の整備によって駅の南北が接続される予定で、今後の発展が期待されています。

 

〔朝日町〕

朝日町は商業地、住宅地ともに下落していますが、下落幅は縮小しています。

朝日町は人口減少傾向が強く、高齢化率も4割を超しているため、住宅地に対する需要が少ない状況にあります。そのため、地価水準は年々下落していますが、地価水準が絶対額で相当に低くなっているため、下落幅は縮小しています。

朝日町の商業地域は既成市街地と国道8号周辺になりますが、人口の減少と高齢化により購買力が低くなっているため商業地域全体に商況が弱くなっています。